こんにちは!「医師のキャリア相談所」batao(ばたお)です。これまで、医師の多様なキャリアパスや転職活動の進め方についてお話ししてきました。
さて、医師の転職を考える際に、誰もがやはり気になるのが「年収」ではないでしょうか。「もっと高い給料の病院はないのか?」「年収3000万円の求人なんて、本当にあるの?」――そうした疑問をお持ちの先生もいらっしゃるかもしれません。
今回は、私が医師専門の人材紹介会社で見てきた経験から、医師の転職市場における年収の「リアルな相場」について、特に高額求人の実態に焦点を当てて詳しく解説していきます。あなたの市場価値を正しく理解し、現実的な目標設定をするためのヒントを見つけていきましょう。

高額求人の実際とリスクをしっかり認識し後悔のない転職活動にしましょう。
1. 年収3000万円以上の求人も「存在する」が、数は極めて少なくリスクも高い
結論から申し上げますと、医師の転職市場において、年収3000万円を超える求人は「存在します」。 しかし、その数は非常に限られており、ごく稀なケースであると認識しておくべきです。そして、そのような高額求人には、それに見合った「大きなリスク」が伴うことがほとんどです。
人手不足の極限
年収3000万円以上を提示する医療機関は、医師の確保が極めて困難な状況にある場合がほとんどです。具体的には、特定の専門科の医師がいない、あるいは複数の医師が退職してしまい、診療体制の維持が危ういといった緊急事態に陥っているケースが考えられます。
想像を絶する業務負荷
高額な給与は、多くの場合、想像を絶するほどの業務負荷と引き換えです。長時間労働、極めて多くの当直・オンコール、特定の手術や処置の集中、あるいは複数の病院の掛け持ちを求められるケースなど、心身ともに過酷な勤務条件であることが珍しくありません。 「寝る時間がない」「プライベートが全くない」といった状況に陥り、短期間で体調を崩したり、精神的に疲弊したりするリスクが高いことを覚悟する必要があります。
特殊なポジション
例えば、地域の基幹病院で、他に誰も専門医がいない唯一の存在として赴任する場合や、特定の手術・手技において全国トップレベルの実績を持つ医師がヘッドハントされるような、非常に特殊なポジションであることがあります。
「含む」の罠
年収3000万円と提示されていても、それが全て「基本給」ではないケースが多いです。多額の残業代や当直手当、インセンティブなどが「年俸に含まれている」形で提示されていることがほとんどです。実質的な労働時間で割ると、必ずしも「時給」が高いわけではないこともあります。
これらの高額求人は、これらのリスクが許容できるような状況の場合に検討すべきものであり、安易に飛びつくことは避けるべきです。
2. 診療報酬の関係で「外科系」と「内科系」でも相場は変わる
医師の給与相場は、専門科目によって大きく異なります。特に、「外科系」と「内科系」では、診療報酬の仕組みが異なるため、相場にも差が生じやすい傾向があります。
外科系
手術や特定の処置を行うことで、高額な診療報酬が発生するため、病院の収益に直接貢献する度合いが高いと見なされます。そのため、特に難易度の高い手術を執刀できる医師(心臓外科、脳神経外科、整形外科、消化器外科など)は、高い給与を提示される傾向にあります。手術件数や執刀スキルが直接的に給与に反映されやすいのが特徴です。
内科系
慢性疾患管理、外来診療、病棟管理などが主な業務となり、外科系ほど高額な「点数」を稼ぎにくいという特徴があります。しかし、高齢化社会において内科系疾患の患者数は圧倒的に多く、幅広く対応できる総合内科医などは非常に需要が高まっています。特に、消化器内科(内視鏡)、循環器内科(カテーテル治療)など、手技を伴う内科系医師は、外科系に匹敵する、あるいはそれ以上の高額な給与を提示されることもあります。
あなたの専門科目が、診療報酬体系上、どのような位置づけにあるのかを理解することは、自身の市場価値を把握する上で重要な視点です。
3. 「都市部」と「地方」の相場、そして「へき地」の特別手当
医師の給与相場は、地域によっても大きく異なります。これは、医師の偏在が主な要因です。
都市部の相場
東京、大阪、名古屋などの大都市圏は、医療機関の数も医師の数も多く、供給過多になりがちなため、給与水準は比較的安定しています。専門性や実績がなければ、給与の大幅なアップは難しい傾向にあります。ワークライフバランスや教育環境、アクセスの良さなどが重視されることが多いです。
地方の相場
地方の医療機関は、医師の確保が困難なため、都市部よりも高額な給与を提示する傾向があります。特に、特定科目の医師が不足している地域では、高い給与を提示してでも医師を呼び込もうとします。
「へき地」の特別手当
医療機関へのアクセスが極めて困難な「へき地」では、通常の地方の相場よりもさらに高い「へき地手当」などの特別手当が加算されることがあります。これは、医師が安心して働ける環境を整備するためのインセンティブであり、非常に高額な給与につながるケースもあります。
地方での勤務は、都市部と比較して給与アップが期待できる反面、教育環境やプライベートの充実度など、給与以外の要素も考慮して検討する必要があります。
4. 転職で上げられるのは「2000万円くらい」が一つのライン
では、現実的に転職で狙える年収の上限はどれくらいなのでしょうか。私の経験から言える一つの目安は「年収2000万円くらい」が、多くの医師にとって現実的な給与アップの「一つのライン」であり、かつ「ワークライフバランス」を保ちやすい上限であることが多いです。
もちろん、これは平均的な目安であり、専門科目や経験年数、地域、個人のスキルによって大きく変動します。
年収1500万円〜2000万円
多くの医師が、転職によってこのレンジを目指すことが可能です。特に、専門医を取得し、中堅としての実績を積んだ医師であれば、地方や特定のニーズが高い科目で十分目指せる範囲です。このレンジであれば、ある程度のワークライフバランスを保ちつつ、高水準の報酬を得られる可能性があります。
2000万円を超える場合
2000万円を超える年収を目指す場合、前述したような「人手不足の極限」にある病院や、非常に高い専門性やマネジメント能力が求められる「特殊なポジション」が中心となります。当然、それに見合った業務負荷や責任が伴うことを覚悟する必要があります。
自身の市場価値を正しく評価し、現実的な目標を設定することが、無駄な転職を避け、納得のいくキャリアを築く上で非常に重要です。
まとめ:医師の「年収相場」を正しく理解し、賢く転職しよう
今回は、医師の転職市場における年収のリアルな相場と、特に高額求人の実態について解説しました。
年収3000万円を超えるような求人も存在しますが、それは極めて稀であり、心身への大きな負担を伴うことを理解しておくべきです。現実的な給与アップのラインとしては、年収2000万円程度が一つの目安となるでしょう。
大切なのは、「数字(年収)」だけでなく、「その給与を得るために何を犠牲にするのか」「長期的に見て、その給与が自身のキャリアや人生にとって本当に価値があるのか」という視点です。
「給与、業務負荷、福利厚生、将来性、ワークライフバランスなど、様々な要素を総合的に判断し、あなたにとって最も『価値』のある選択をすることが、後悔のない転職への道です。
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