こんにちは!「医師のキャリア相談所」運営者のbatao(ばたお)です。
今回取り上げるのは、多くの医師の先生方がひそかに気にしているけれど、なかなか人に相談しにくいテーマかもしれません。それは、「転職回数」についてです。
「転職回数が多いと不利になるって聞くけど、本当?」「自分はもう何回か転職しているから、もう難しいかな…」といった不安を抱えている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
私が7年間、医師専門の人材紹介会社で採用の現場を見てきた経験から、採用側が医師の転職回数をどう見ているのか、そのリアルな本音と、転職回数が多い場合の対処法について詳しく解説していきます。

転職回数が多いことは転職市場では間違いなく不利になります。そのためにも転職の際はしっかりと準備し、短期間での転職が必要になったときにはどうするべきか解説します。
1. 医局人事や法人内の異動は「転職回数」とみなされないことがほとんど
まず、最も重要なポイントです。医師のキャリアにおいて、「医局の人事異動」や「同じ医療法人内でのグループ病院間の異動」は、一般的に転職回数とはみなされません。
これは、日本の医師特有のキャリアパスであり、多くの採用担当者もその特殊性を理解しているためです。
医局人事
大学医局に属している場合、数年おきに関連病院へ派遣されるのはごく自然なことです。これはキャリア形成の一環であり、医師の意思で動くものではないため、転職とは考えられません。履歴書には勤務先としての記載は必要になりますが派遣の理由や期間を明確にすれば問題ありません。
法人内異動
複数の病院を運営する医療法人の場合、経営戦略や人員配置の都合で、グループ内の病院間を異動することは珍しくありません。これも組織内の異動であり、自己都合による転職とは区別されます。
これらは、あなたのキャリアを豊かにするための経験と評価されることがほとんどです。そのため、これらの異動については、転職回数を気にする必要は全くありません。履歴書には丁寧に記載し、面接で聞かれた際には、その異動が自身のスキルアップや経験の幅を広げる機会となったことを前向きに伝えましょう。
2. 自分の意志で転職した場合:「各年代で1回程度」が理想の目安
「自分の意志」で転職活動を行い、実際に勤務先を変えた場合、それが転職回数としてカウントされます。採用担当者が「転職回数が多い」と感じるかどうかは、その回数だけでなく、「在籍期間」と「転職理由」によって判断されます。
一般的な目安として、各年代(20代後半〜30代、30代後半〜40代、40代後半〜50代など)で1回程度の転職であれば、採用側が過度に警戒することは少ないでしょう。
例えば、
20代後半〜30代前半
研修を終えて医局を出て、市中病院での経験を積むための転職。
30代後半〜40代
専門医を取得し、更なるキャリアアップや特定の専門性を追求するための転職。子育てとの両立などワークライフバランスを重視した転職。
40代後半〜50代
ライフプランの変化(子育て、親の介護など)や、自身のキャリアの集大成として、より理想に近い働き方を求めての転職。
このように、明確な目的や理由があり、それぞれの職場で一定期間(最低でも3年以上)勤務していれば、転職回数が2〜3回程度あっても、採用側は納得してくれる可能性が高いです。むしろ、多様な環境での経験を積んでいるとポジティブに評価されることもあります。
3. 毎年のように転職する先生は「警戒」される傾向がある
一方、「毎年のように」あるいは「1〜2年で次々と」転職を繰り返している先生は、採用側から警戒される傾向にあります。
これは、「定着性がないのではないか」「何か問題があるのではないか」「入職してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」といった懸念を抱かせるためです。
「ジョブホッパー」という懸念
短期間での転職を繰り返す医師は「ジョブホッパー」と見なされ、採用リスクが高いと判断されがちです。病院側としては、医師の採用には多大なコストと労力がかかるため、すぐに辞められては困るのです。
「転職理由」への疑念
どんなに立派な転職理由を語っても、短期間での転職が続くと、採用側は「本当にその理由だけなのか?」「実は本人に原因があるのではないか?」と疑念を抱くことがあります。
スキルや経験の蓄積不足
短期間の転職では、一つの病院で深くスキルを磨いたり、プロジェクトを完遂させたりする機会が乏しくなります。これにより、特定の専門性やリーダーシップの経験が不足していると判断されることもあります。
もしあなたが短期間での転職を繰り返してしまっている場合、次の転職ではこの点をいかに払拭するかが大きな課題となります。
4. 「いい職場に巡り合わず短期間で複数回転職してしまった」ときの対処法
誰もが納得のいく転職ができるとは限りません。中には、不運にも「いい職場に巡り合えず」、短期間で複数回転職を繰り返してしまった先生もいらっしゃるでしょう。このような場合でも、諦める必要はありません。大切なのは、その状況をいかに採用側に「納得感のある理由」として伝え、改善の意思を示すかです。
正直に、かつ戦略的に理由を説明する
漠然と「合わなかった」ではなく、具体的な理由(例:専門外の業務が多すぎた、医療体制が求めていたものと違った、ハラスメントがあったなど)を説明しましょう。
ただし、前職の悪口にならないよう注意し、あくまで「自分の理想とのギャップ」があったことを客観的に伝えます。
「なぜその職場を選んでしまったのか」「その経験から何を学んだのか」「次の職場ではどうすれば良いと考えているのか」をセットで話すことで、反省と改善の意思を示すことができます。
ポジティブな「未来志向」を示す
過去の転職失敗を悔やむだけでなく、「この経験があるからこそ、次の職場では長期的に貢献できる」というポジティブなメッセージを伝えましょう。
応募先の病院のどのような点に魅力を感じ、どのように貢献したいのかを具体的に伝えることで、高い定着意欲を示すことができます。
「次こそは長期勤務したい」という覚悟を伝える
面接の場で、「これまでの経験を踏まえ、今回は腰を据えて長く働ける場所を探しています」という強い意志を伝えましょう。具体的な「定着への努力」(例:入職前に職場見学を複数回行う、気になる点は徹底的に質問するなど)を語るのも良いでしょう。
「試用期間」を活用する
もし試用期間がある求人であれば、「試用期間中に貴院の文化に順応し、必ず長期的に貢献できることをお見せします」と伝えることで、採用側の不安を軽減できる可能性があります。
人材紹介会社を「味方」につける
転職回数が多い場合、個人で応募するよりも、人材紹介会社のコンサルタントを介して応募する方が有利なケースがあります。コンサルタントがあなたの状況を事前に医療機関に説明し、推薦文を添えることで、あなたの魅力を効果的に伝えてくれるからです。
まとめ:転職回数は「数字」だけでなく「理由」が重要
今回は、医師の転職回数について、採用側の視点も交えながら解説しました。
転職回数は、単なる数字だけではありません。その「理由」と「期間」が何よりも重要です。医局人事や法人内異動は気にせず、自分の意思での転職は、明確なキャリアビジョンに基づき、各職場で一定期間の実績を積んでいれば問題ありません。
もし短期間での転職を繰り返してしまっている場合でも、正直に、そして戦略的に理由を説明し、改善の意思と長期的な貢献意欲を示すことで、道は開けます。
あなたのキャリアを、数字にとらわれず、あなたが納得のいく形で形成していくためのヒントになれば幸いです。
batao(ばたお)
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