医師の「常勤とは?」3種類の考え方。転職で失敗しない必須知識を解説

医師の「常勤とは?」3種類の考え方 転職で失敗しない必須知識を解説 転職活動の進め方

こんにちは。「医師のキャリア相談所」のbatao(ばたお)です。

私は以前、医師専門の紹介会社で、多くの先生方のキャリアチェンジをお手伝いしてきました。
その中で、先生方が転職活動を始める際に、ある一つの言葉の「揺らぎ」に戸惑う場面を何度も目にしてきました。

それが「常勤」という言葉です。

「常勤としてオファーをもらったのに、よくよく条件を聞いたらイメージと違った…。」
「週4日勤務は、常勤になるのだろうか?」

先生方も、一度はこういった疑問を持たれたことがあるのではないでしょうか。

実は、医師の「常勤」という言葉は、使う人や場面によって意味が異なります。
この違いを知らないままだと、思わぬ条件のミスマッチが生まれてしまうかもしれません。

そこでこの記事では、先生方が言葉に惑わされず、ご自身の希望に合った働き方を実現できるよう、「常勤」が持つ3つの定義と、転職時に絶対に確認すべきポイントを、元エージェントの視点から解説していきます。

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「常勤」と「非常勤」の働き方を、年収やキャリアパス、福利厚生といった観点からより広く比較したい先生は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
▶︎ 【医師の働き方】常勤と非常勤の違いを徹底比較!あなたに合うのはどっち?


この記事を書いた人
医師のキャリア相談所

元医師専門の紹介会社勤務。7年間で300名以上の先生方とキャリア面談を実施し約50人の転職サポートを実施。国家資格キャリアコンサルタント取得。趣味は料理。MBTI診断は建築家(INTJ)。先生方がいきいき働いて日本の医療がもっともっと良くなるような情報発信をしていきます。

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医師の「常勤とは」そもそもなに?

忙しい先生方のために、まず結論からお伝えします。
医師の「常勤」には、大きく分けて以下の3つの顔(定義)があります。

  1. 配置基準上の常勤: 病院が行政の施設基準を満たすための定義
  2. 雇用形態としての常勤: 先生自身の給与や待遇を決める最も重要な定義
  3. 実際の働き方を表す常勤: 働き方の実態を反映した、転職市場での定義。主に紹介会社が使います。

一つひとつ、先生ご自身のキャリアにどう関係するのか、分かりやすく解説していきます。


それぞれの「常勤」を解説

1. 配置基準上の常勤とは?

まず一つ目は、主に医療法などで定められている「人員の配置基準上の常勤」です。

これは、病院が行政(保健所など)に対して「私たちの施設には、定められた基準を満たす数の常勤医師がいますよ」と示すための、いわば施設運営上のルールです。
先生個人の給与や待遇に直接結びつくわけではありません。
ですが、基本知識として知っておくと良いでしょう。

  • 原則: その病院が定める正規の勤務時間(例:週40時間)をすべて勤務すること。
  • 例外: 週に32時間以上勤務している場合も、常勤医師1名としてカウントすることが認められています。

この「週32時間」という基準が、後述する「週4日勤務の常勤」という考え方の拠り所の一つになっています。しかし、これはあくまで施設基準をクリアするためのルール。ご自身の待遇とは切り離して考える必要があります。


2. 雇用形態としての常勤とは?

二つ目にして、先生方の待遇を決定づける最も重要な定義が、この雇用形態としての「常勤」です。

これは、各医療機関の就業規則によって定められており、いわゆる「正規職員」を指します。一般的には、以下の特徴があります。

  • 雇用期間の定めがない「無期雇用契約」である
  • その医療機関が定める正規の勤務時間(例:週40時間)を勤務する
  • 賞与(ボーナス)や退職金の支給対象となる
  • 社会保険が完備されている

つまり、先生方が安定した身分や手厚い福利厚生を望む場合、この「雇用形態としての常勤」での契約を目指すことになります。

【重要ポイント】フルタイム勤務でも「非常勤」の可能性

ここで一つ、転職における落とし穴になりがちな注意点があります。 それは、たとえ週40時間フルタイムで勤務していても、契約期間に定めのある「有期雇用契約」の場合、「常勤」ではなく『非常勤職員』や『嘱託職員』という扱いになるケースがあることです。

呼び方は「常勤」でも、契約書を見たら1年更新の有期契約だった、ということも実際にあります。ですから、正社員にこだわるのであれば、労働時間だけでなく雇用期間の定めの有無は必ず確認するようにしてください。


3. 紹介会社が使う「常勤」とは?

そして三つ目が、転職エージェントが使う、いわば転職市場における実務上の「常勤」です。

紹介会社は、求人をご案内する際、「週4日(32時間)以上」の勤務を「常勤」の枠でご紹介することが一般的です。
しかし近年、この時間数だけでは測れないケースが増えています。
その実務的な線引きとして、『社会保険に加入できるかどうか』がより大きな基準になっているのです。

週20時間で社会保険に加入できる場合も

特に、従業員数の多い大規模な医療法人などでは、法改正により週20時間以上の勤務で社会保険の加入対象となる場合があります。
その場合、たとえ勤務時間が32時間に満たなくても、社会保険が完備されていることを理由に「常勤」として扱われ、募集・紹介されるケースが実際に増えています。

これは、働き方が多様化する中で、「安定した身分保障(社会保険)」を重視する先生方のニーズに応える形と言えるでしょう。

ただし、ここでも注意が必要です。これらのポジションが、医療機関の就業規則上では「時短常勤」や有期雇用の「嘱託職員」という扱いである可能性は依然としてあります。
だからこそ、勤務時間だけでなく、正確な雇用形態をしっかり確認することが何よりも重要になります。


【実践編】失敗しないために、医師が確認すべき3つのチェックポイント

では、これらの知識を踏まえて、実際に転職活動をする際に何を確認すればよいのでしょうか。

【元エージェントの裏話】

これからお伝えするチェックポイントは、入職後のミスマッチを防ぐための最低限の「守り」の確認作業です。さらに一歩進んで、求人票の段階で「攻め」の視点を持つことも重要です。
実は、求人票の些細な表現から「この求人は少し注意が必要かもしれない」というサインを読み解くことができます。その具体的な見極め方について、noteで詳しく解説しています。
▶︎ 求人票からわかる紹介会社の「あぶない求人」の見極め方(note)

ここでは元エージェントとして、「これだけは必ず確認してほしい」という3つのポイントに絞ってお伝えします。

チェックポイント1:労働条件通知書で「勤務時間」と「契約期間」を確認する

内定後、医療機関から提示される「労働条件通知書」は最も重要な書類です。
「常勤」という言葉だけを信じてはいけません。
「週の所定労働時間」が何時間になっているか。
そして「契約期間の定めの有無」がどう記載されているか、必ずご自身の目で確認しましょう。

チェックポイント2:就業規則で「賞与・退職金」の支給対象者を確認する

もし賞与や退職金などの福利厚生などを重視されるのであれば、就業規則の関連規定を見せてもらうのが確実です。
「賞与・退職金は正規雇用の常勤職員に支給する」といった記載が一般的です。
ご自身の雇用形態が支給対象に含まれるのか、入職前に明確にしておきましょう。

チェックポイント3:紹介会社に「雇用形態」を正確にヒアリングする

エージェントを利用する場合は、遠慮なく確認の質問をしてください。
例えば、以下のような質問です。

  • 「この求人の雇用形態は、正規の常勤職員(無期雇用)という認識で合っていますか?」
  • 「就業規則上、時短常勤や嘱託職員という扱いになりますか?」

信頼できるエージェントであれば、これらの質問に対して誠実に確認して答えてくれるはずです。

このように、転職エージェントは情報の確認や条件交渉において重要なパートナーとなります。
担当者との信頼関係を築き、転職活動を有利に進めるための具体的な付き合い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。


まとめ:「常勤」という呼び方より、働き方の実態理解が重要

最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • 医師の「常勤とは」何か、には主に3つの定義(配置基準・雇用契約・紹介会社)があること。
  • フルタイム勤務でも、契約期間によっては「非常勤」扱いになりうること。
  • 転職時は言葉だけでなく、労働条件通知書で「勤務時間」と「契約期間」の確認が不可欠。

ここまで見てきたように、「常勤」という言葉は非常に多義的です。

重要なのは、「常勤」か「非常勤」かという呼び方ではありません。
ご自身の雇用契約が、具体的にどのような勤務時間、待遇、そして雇用期間になっているのか。
その『働き方の実態』を正確に理解することです。

その上で、ご自身のキャリアで何を最も重視するかによって、目指すべき「常勤」の形が見えてきます。

将来的なキャリアパスや役職、社会的な信用性を重視される先生は

医療機関の就業規則に則った、雇用期間の定めのない「正規職員としての常勤」を目指すのが良いでしょう。

何よりもまず安定した社会保障を確保したい、という先生は

勤務時間(週20時間や32時間など)の基準を満たし、「社会保険への加入が確約されている」ポジションを最優先に検討するのが合理的です。

肩書や契約形態よりも、働き方そのものを大切にしたい先生は

呼び名にこだわらず、勤務日数、業務内容、時間外労働の有無といった「本質的な労働条件」にご自身が納得できるかどうか、という視点で選択することが満足に繋がります。

ぜひこの基準を参考に、ご自身にとって最適な働き方を見つけてください。

この記事が、先生方のキャリアプランニングの一助となれば幸いです。

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